大判例

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京都地方裁判所 昭和42年(手ワ)310号 判決 1967年8月17日

原告

西野武夫

被告

鈴木隆

主文

被告は、原告に対し、金三三〇、〇〇〇円および内金一五〇、〇〇〇円に対する昭和四一年一〇月二七日から、内金一八〇、〇〇〇円に対する昭和四一年一一月二九日から、各支払済まで、年六分の割合による金員を支払え。

訴訟費用は被告の負担とする。

本判決は仮りに執行できる。

事実

原告は、主文同旨の判決を求め、その請求原因として、つぎのとおり述べた。

一、(1)、原告は、被告の振出した左記持参人払式小切手一通(本件小切手)の所持人である。

金額 一五〇、〇〇〇円

振出日 昭和四一年一〇月二五日

振出地 京都市

支払人 京都市上京区千本通丸太町下ル北主税町

株式会社大和銀行千本支店

(2)、原告は、昭和四一年一〇月二六日、支払場所において、本件小切手を支払人に呈示して、支払を求めたが、拒絶された。

(3)、原告は、本件小切手に左記支払拒絶宣言の記載を受けた。

「この小切手の呈示を受けましたが次の理由に依りお支払できません(交換支払済印取消)

不渡理由 取引解約後

呈示の日 (空白)

住所 京都市上京区丸太町通河原町上ル

職業 毛系加工販売

昭和四一年一〇月二六日

株式会社大和銀行千本支店

支店長 吉岡次平」

二、(1)、原告は、被告の振出した左記約束手形一通(本件手形)の所持人である。

金額 一八〇、〇〇〇円

支払期日 昭和四一年一一月二八日

支払地、振出地 京都市

支払場所 株式会社大和銀行千本支店

振出日 昭和四一年九月二八日

振出人 鈴木隆(被告)

受取人、第一裏書(白地式)裏書人 山本幾之助

(2)、原告は、支払期日に、支所場所において、本件手形を呈示して、支払を求めたが、拒絶された。

三、よつて、原告は、被告に対し、本件小切手金・手形金合計金三三〇、〇〇〇円および内金一五〇、〇〇〇円に対する昭和四一年一〇月二七日から、内金一八〇、〇〇〇円に対する昭和四一年一一月二九日から各支払済まで年六分の割合による法定利息の支払を求める。

被告は、口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面も提出しない。

理由

原告主張の事実は、被告において自白したものとみなす。

小切手の支払拒絶による遡求の要件たる拒絶宣言は、原則として、呈示期間経過前に作成することを要し、例外として、期間の末日に呈示があつたときは、これに次ぐ第一の取引日中に作成することを要する(小切手法第四〇条)。したがつて、小切手法第三九条第二号所定の日附記載の要件は、右期間遵守の証明のために規定された重要な要件であつて、作成日附の記載を欠く支払人の宣言は、遡求の要件を充足しないものと解するのが相当である(大阪高等裁判所昭和三五年一二月二四日第八民事部判決、高裁民集第一三巻第九号八四四頁)。

ところで、呈示の日の記載を欠く支払人の宣言は、遡求権保全の効力があるであろうか。

呈示期間の末日に次ぐ第一の取引日の作成日附の記載がある支払人の宣言に呈示の日の記載を欠いているとき、呈示の日の記載は、宣言作成期間遵守の証明のための重要な要件となるから、右支払人の宣言は、遡求権保全の効力がないと解するのが相当である。

これに対し、本件のように、呈示期間の末日以前の日の作成日附の記載がある支払人の宣言に、呈示の日の記載を欠いていても、右支払人の宣言は、遡求権保全の効力があると解するのが相当である。けだし、設例の場合、呈示の日の記載は、宣言作成期間遵守の証明のための要件とならないし、設例の支払人の宣言によつて、呈示が、支払人の宣言の作成日附の日以前の日になされた事実(呈示が、支払人の宣言の作成日附の日以前の何日になされても、適法の時期になされた呈示である)を認めうるからである。

よつて、原告主張の事実によれば、原告の本訴請求は、すべて正当であるから、これを認容し、民事訴訟法第八九条第一九六条を適用し主文のとおり判決する。(小西 勝)

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